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03.優れたインスタレーションのなかに入っていくと・・・
02.がらがらの美術館で思ったこと・・・
01.例えばアートを緩衝材にするような・・・
 
さて、今回あたらしくはじまるこのコーナー「美術の穴」。ちょっとのぞいただけではわからない、底なしのアートワールドを一緒にのぞいてみませんか?アートな休日の実践法、美術館や展覧会の紹介、アートについてわたしが日々考えていることをつづってみたりなどなど・・・アートな出来事をたくさん紹介していきます。
それでは。見慣れた日常の世界から、ちょっとだけトリップ!

美術の穴 第1話 「例えばアートを緩衝材にするような日本人の美的感覚。 誇らしいと思うんですが・・・」

ジャポニズムって、ご存知ですか?20世紀初頭のヨーロッパで大流行した美術様式です。いわゆるファインアートと呼ばれる絵画などの作品だけでなく、工芸や建築の世界にもその影響は波及しました。
「ジャポニスム」っていったい何なのか?直訳していってみればそれは「日本趣味」のこと。このジャポニズムが巻き起こる前には「シノワズリー」と呼ばれる「中国趣味」の流行がありました。万国博覧会の開催や、陶磁器などの輸出を通して、アジアの美術を珍重する気運が一気に高まった時代です。

私の部屋には今、一枚のポスターが貼ってあります。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの「タンギー爺さん」。麦わら帽子をかぶったひとりの老人が壁の前の椅子に腰かけています。背景の壁には一面に絵がかけられているのですが、それらはよく見るとすべて浮世絵なのです。花魁、見返り美人、富士山といった浮世絵の定番モチーフが、ゴッホの目というフィルターを通して描き出されています。ゴッホは浮世絵のコレクターでもあり、日本の美術から多くの影響を受けていると言われます。浮世絵の模写も多く残しています。19世紀末〜20世紀初頭という時代のヨーロッパで、ゴッホをはじめとする多くの芸術家たちが美術を通して日本という国に憧憬の念を抱いていた。そう思うと何だか誇らしい気分になりますよね。

最後に浮世絵をめぐるエピソードをひとつ。当時、盛んに行われていた陶磁器の輸出の際、破損を防ぐための緩衝材として日本人は刷り損じた浮世絵を使ったといいます。ヨーロッパの人々は陶磁器の入った箱を開くと、美しい版画が一緒になって入っていることにまず驚き、日本の美的生活水準の高さに感心したといいます。なにせ「いらないもの」としてただで浮世絵をヨーロッパに輸出していたことになるのですから・・・。とは言え、くしゃくしゃの緩衝材となっても、人々に愛でられる。本当のアートってそういうものなのかも知れないですね。

written by ピエール.N

 
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